サイクルポートの設置を検討している方で、サイクルポートが固定資産税の対象になるのか気になっている方もおられるのではないでしょうか。固定資産税の対象かどうかは、3つの要件を満たしているかどうかが基準になります。
本記事では、固定資産税の概要やサイクルポートが固定資産税の対象になるか、また、対象になる建物の要件について解説します。さらに、サイクルポートの種類や工事業者に依頼するときの注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

固定資産税とは?
固定資産税は、不動産や土地などの固定資産に対して課される税金です。これは地方税の一種で、市区町村が税収として徴収しています。固定資産税の評価額は、3年ごとに行われる評価替えによって決定され、その評価額に税率をかけて算出されます。
また、固定資産税は地域社会の公共サービスの財源となり、道路の維持や教育、消防などの公共事業に使用されるものです。
サイクルポートは固定資産税の対象?
サイクルポートには「屋根」があり、柱で土地に「固定」されているため、いくつかの要件を満たしています。しかし、外気を遮断する点について、側面や背面に壁がないため「三方向以上が壁で囲われている」という条件には該当しません。
このため、サイクルポートは固定資産税の対象外となります。たとえ小型の1台用であっても、複数台用であっても、3方向以上が壁で囲まれていない限り、固定資産税は課されません。
固定資産税の対象になる建物の要件は3つ
次に、固定資産税の対象になる建物の要件について深掘りして解説します。
- 外気分断性
- 土地への定着性
- 用途性
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.外気分断性
外気分断性とは、建物が外部の空気と内部の空気を効果的に分ける性能を指します。具体的には、壁や屋根、床、窓、ドアなどがしっかりと設置され、外部の気温や風、湿度などが内部に影響をおよぼさない状態を意味します。
この要件を満たすと、建物としての機能が認められるため、固定資産税の課税対象です。外気分断性が確保されていない構造物や簡易的な建物は、固定資産税の対象外になります。
2.土地への定着性
土地に固定されて動かせない建築物は、「土地への定着性がある」とみなされ、税金が課せられる可能性があります。これに対し、容易に移動可能な簡易物置などは、土地への定着性がないと判断される場合が多いです。
税制上、この違いは非常に重要であり、固定された建物と移動可能な構造物とでは、課税の対象や方法が異なります。
3.用途性
建築物が、その建設目的に応じて実際に利用できる状態である場合、不動産登記法において建物と認定される可能性があります。たとえば、「倉庫」や「駐車場」としての用途に沿って利用可能であれば、これらの建物は用途性があると判断されます。
このため、建築物の設置を検討する際には、これらの要件を慎重に考慮するようにしてください。
サイクルポートの種類
次に、サイクルポートの種類について解説します。
- 形状
- 基礎工事の有無
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.形状
サイクルポートには大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴を以下に紹介します。
- サイクルハウスタイプ
このタイプは簡易的に設置できる。テントのような構造で、入り口にチャックが付いており、全方位からの雨や日差しを遮る
- ガレージタイプ
このタイプは屋根と柱で構成されており、非常に頑丈で耐久性に優れている。一部の製品では業者による設置が必要になるが、長期間にわたって自転車を保護できる
- 物置タイプ
このタイプは3方向と天井が覆われており、雨や風から自転車を保護できる。小型のDIY可能なものから、大型のものまでさまざまなサイズがある
2.基礎工事の有無
サイクルポートには、業者による基礎工事とDIYの2つの設置方法があります。基礎工事を依頼すると、台風や地震に耐える頑丈な構造にできます。また、カーポートや門扉と統一感のあるデザインで、高級感を演出することも可能です。
一方、DIYのサイクルポートは、基礎工事が不要なためコストを抑えられます。さらに、限られたスペースにも設置できる小型の製品が多く、手軽に設置できるのが特徴です。どちらを選ぶかは、予算や設置場所に応じて決定してください。
サイクルポートを工事業者に依頼するときの注意点は3つ
次に、サイクルポートを工事業者に依頼するときの注意点について解説します。
- 隣地への影響に配慮する
- 出し入れのしやすさを考えて設置する
- サイクルポートをしっかり固定する
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.隣地への影響に配慮する
サイクルポートを設置する際には、隣接地への影響を考慮しなければなりません。サイクルポートの屋根には傾斜があり、雨水や雪が隣地に流れ込む可能性があります。そのため、境界線に近接して設置する場合は、雨どいを取り付けたり、屋根の傾斜を調整するなどの対策を講じる必要があります。
こうした対応策については、専門の業者に相談するのがおすすめです。隣人との良好な関係を維持するためには、設置前に充分な配慮を行い、お互いに気持ちよく暮らせる環境を目指しましょう。
2.出し入れのしやすさを考えて設置する
サイクルポートの設置場所を選ぶ際には、利便性を考慮したいものです。自転車を毎日利用する場合、出し入れがスムーズにできる場所に設置するのがおすすめです。
設置場所としては、庭や玄関前、家の脇の空きスペースなどへの設置を検討してみてください。もし、スペースに余裕があり、段差のない場所に設置できれば、自転車の出し入れが容易になります
3.サイクルポートをしっかり固定する
サイクルポートを設置する際には、基礎と地盤の固定が非常に重要です。これにより、台風などの強風でもサイクルポートが飛ばされることなく、日常的に安全に使用できます。
外構業者が施工する場合、通常は基礎工事を行い、しっかりと固定します。さらに強度を高めるためには、取り外し可能な「サポート柱」を用意し、強風時には4本の柱で補強する方法も有効です。
もし、DIYで設置する場合、地面にしっかりと固定するための工夫が欠かせません。具体的には、基礎工事を行うか、コンクリートブロックを基礎代わりに使う方法があります。この際、コンクリートブロックとサイクルポートの骨組みを十分に緊結することに注意しましょう。
サイクルポートの固定資産税でよくある3つの質問
サイクルポートの固定資産税でよくある3つの質問をご紹介します。
- 質問1.サイクルポートの増築に確認申請は必要?
- 質問2.サイクルポートの面積が容積率に不算入となる条件とは?
- 質問3.サイクルポート工事費用の目安や相場は?
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問1.サイクルポートの増築に確認申請は必要?
サイクルポートの設置や改築に関しては、面積が重要な要素となります。とくに、建築確認申請の必要性については、設置するサイクルポートの床面積が基準となります。
具体的には、床面積が10平方メートルを超える場合には建築確認申請が求められますが、10平方メートル以下の場合には申請が不要です。サイクルポートの設置を計画する際には、事前に面積を確認し、必要な手続きを適切に行うようにしましょう。
なお、建ぺい率や容積率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:サイクルポートの建ぺい率・容積率とは?緩和措置の適用や建築確認申請が必要なケースをご紹介!
質問2.サイクルポートの面積が容積率に不算入となる条件とは?
建築基準法により、駐車場や駐輪場の床面積は、建物の延床面積の5分の1を上限として算入しないことができます。
たとえば、延床面積が75㎡の家に5㎡のサイクルポートがある場合、延床面積の合計は80㎡となり、その5分の1である16㎡を超えないため、サイクルポートの面積は延床面積に含めません。
しかし、サイクルポートが16㎡を超える場合は、超えた部分の面積が延床面積に加算されます。ただし、一般的なサイクルポートのサイズは多くの場合、5分の1の基準内に収まるため、延床面積に含めなければならないケースは稀です。
質問3.サイクルポート工事費用の目安や相場は?
サイクルポートの設置工事を業者に依頼する際の費用は、120,000円〜350,000円程度とされています。この費用の内訳は以下のとおりです。
- 本体価格:80,000円~300,000円
- 施工費用:40,000円~80,000円
施工費用には基礎工事、本体の組み立て、残土処理などが含まれますが、業者によっては追加費用が発生する場合もあります。そのため、見積もりを取る際には、施工費用の詳細を確認するようにしましょう。
まとめ
本記事では、固定資産税の概要やサイクルポートが固定資産税の対象になるか、対象になる建物の要件、サイクルポートの種類や工事業者に依頼するときの注意点について解説しました。
固定資産税とは、不動産や土地などに課される税金です。サイクルポートが固定資産税の対象となるかどうかは、外気分断性、土地への定着性、用途性の3つを満たしているかどうかが判断基準です。
これらは、設置するサイクルポートの大きさや形状によって異なるため、サイクルポートの設置を検討する際は、慎重に計画するようにしてください。
